学生コラム

日本国民の防災意識について

「中国紙記者が驚嘆した日本人の防災意識=地震への備えが日常に浸透」という題の記事を見つけた。2014年3月11日、東日本大震災発生時に日本にいた中国の新聞記者による「防災意識が日常に浸透している日本」という題名の記事が中国紙に掲載された。

この記事は、その内容が記されている。

この中国人記者は、2008年に日本へ移住し、日本の建物が災害時を意識した構造になっていることや、防災訓練に力を入れていることを初めて知った。 そして東日本大震災が発生した時には、地震発生後、小学生を連れて帰宅する保護者や、防災頭巾をかぶった人々の姿を見た。これまで経験したことのない大地震に、どこに逃げれば良いのかも分からなかったが、「日本人は普段から訓練している、ついていけば大丈夫」と思ったという。

この中国人記者は、日本の防災意識が強いと感じたようだ。確かに、災害時に逃げやすい構造の建物が多く、防災訓練は頻繁に行われる。しかし、これは身を守る最低限のことである。

私は今年の3月、実際に東北へ行き、被災した方々の話を聞く機会があった。その中には、地震発生時に自分がいた建物が、屋上まで津波にのまれてしまった方もいた。

その方は、屋上にある備え付けのはしごに、自分の体をロープでくくり付けて必死に津波に耐えたそうだ。もし自分がその立場であったら、パニックに陥ってそのようなアイディアは浮かばないかも知れない。

小学生の時から防災訓練をしてきたが、それは地震発生の放送に合わせて机の下に隠れ、その後は普通に整列して校庭に集まって話を聞く、というだけのものであった。今考えれば極めて実践性が低いことに気付くが、自分はこの防災訓練の形式に疑問を持つこともなかった。

災害に対して他人事と考えていたのである。

東日本大震災の発生にともない、災害の恐ろしさや防災訓練が大切だという事実を理解した国民は増えたようだ。しかし、東日本大震災で津波に流されて亡くなった方々が津波に流されどのように亡くなったのか、また津波に巻き込まれながらも助かった方々がどのような手段を使ったのかについて具体的なことを知っている国民は少ない。

本当に大地震に見舞われた時、自分の命を守るためには、そのような具体的なことを、他人事ではなく自分のこととして頭に入れておくことが大切なのではないだろうか。